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一年の最後の月も間近に迫ったとある日の夕方。 せつなは、クローバータウンストリートに並ぶとある雑貨店の前にいた。 すっかり日の落ちるのも早まったこの時期は気温が下がるのも早い。 四つ葉中学校指定のコートに身をくるんでいるとはいえ、 じっと立っているだけの身に容赦なく寒さはまとわり付いて来る。 「冬って……こんなに寒いのね」 そう思い、身をぶるっと震わせる。 全てが管理されている管理国家ラビリンスでは、 国民が効率良く自らの役割を果たせるように、 天候や気温がメビウスや幹部達によってコントロールされているので 季節という概念は存在しなかった。 だからこれは、彼女にとっての初めての、冬。 すっかり体温が逃げ去った両の頬に手を当てながら、せつなはそれを充分に感じ取る。 (まだかしら……) ここで待ってて。 そう言って、雑貨屋の中に入っていったラブのことを思い、息を一つ吐き出す。 せつなの口元から離れたそれは、瞬く間に白く染まり、空気の中に散っていく。 初めて見た時こそ驚かされたが、自分からやってみると、 特に意味は無いのになんだか楽しい。 続けて二回。 今度はかじかんだ手のひらを暖めるように、口元で丸めた手の平の中に一回。 吐くたびに生まれる白の流れ。 それが作られては霧散していく様を眺めていると。 「せつな、お待たせ~」 雑貨店の扉が開き、紙袋を小脇に抱えたラブが、店の外に出てきた。 「用事、終わったの?」 「うん、バッチリ!」 問いかけに笑顔で答え、空いた手でVサインを作るラブ。 そして、小脇に抱えた紙袋を開く。 「じゃーん、これ見てよ、せつな!」 ラブが取り出して見せたのは一双の手袋。 「……ラブ、新しい鍋つかみを買ったの?」 首を傾げたせつなの言葉に、がっくりと肩を落とすラブ。 あー、そういえば形似てるっけ、と思い、気を取り直すと 改めてせつなに説明する事にする。 「いやいや。これはね、ミトンっていう手袋なんだ」 「ミトン?」 「うん、普通の手袋と違って指を入れるところが 親指とそれ以外の2つになってるでしょ?こういうのをミトンって言うの」 ほら、と言って両手にはめてみせる。 「こんな感じになるんだよ」 そのまま指を曲げたり、伸ばしたり。 その仕草が、何かそういう形の小さい生き物が動いてるようにせつなには見えて。 「ふうん……何だか可愛いのね」 「でしょ?こういうの、前から欲しかったんだ」 嬉しそうに話すラブを見て、せつなも笑みを浮かべる。 良かったわね、と素直な感想を述べると、ラブも、うん!とうなずく。 ごく普通のやり取りの筈なのに、それでとても嬉しい気持ちになれるのは (それがラブの事……だからよね) そう思うことで、胸の中がなんだかあったかくなる。 そのことがまた、なんだか嬉しい。 だから、この気持ちを持ち続けたいと、せつなはある提案をラブに持ちかけた。 「ねえラブ、それ、私も欲しくなっちゃったんだけど……。 同じの、まだあるかしら?」 その言葉に、待ってました!と言わんばかりの表情を浮かべるラブ。 「じゃじゃーーん!こんな事もあろうかと、買っておいたのだ!」 そう言いながらラブが取り出して見せたのは、 今彼女がはめているのと同じ形のミトン。 ただ、ラブが今はめているのがピンク色なのに対して、今取り出したのは赤色。 それはつまり。 「はい、こっちはせつなの分、あたしとお揃い!」 「え?」 きょとんとしたままで差し出されたミトンを見つめるせつな。 (……そりゃそうか、いきなりこんな事言われたらビックリするよね) 唐突な切り出しをした自分に反省しつつ、 ラブはせつなの手を取るとその上にミトンを乗せる。 「これはあたしからのプレゼント……一足早いクリスマスプレゼントかな? だから遠慮しないで、受け取って欲しいの」 「でもこれ、ラブのお小遣いで買ったんでしょ?」 「うん、向こう三週間はドーナツ我慢することが決定しててね…… と、いやいや、それは置いといて、ね、受け取って、せつな」 手で物を横に除けるジェスチャーをしたりしながらも 受け取る事を促すラブに、せつなは首を振る。 「やっぱり悪いわ……いくらプレゼントと言われても、 ラブの楽しみを奪ってまで、受け取るなんて出来ないわよ」 頑なに固辞するせつなに、ラブは苦笑。 (まったく、こういう時でも真面目なんだから……) それでも、この娘に受け取ってもらいたいから。 その想いを糧に、頭の中で一つ一つ言葉を作り、繋げ、紡ぎだす。 「あのね……これ買うときに、一緒にせつなのも買おうって決めてたんだ。 この冬は二人でおそろいの手袋をして、手を繋いで街を歩きたいって思ったから。 勿論これはあたしの一方的なわがまま。 でも聞いてくれたら、あたしは嬉しいかな」 「ラブ……」 「どうかな、せつな?」 「……もう、ズルいのね、そんな言い方されたら、私断れないわよ」 そう言いながらも、せつなの顔に浮かぶのは決して不快の表情ではなく。 「え、それじゃあ……」 「うん、喜んで受け取らせて貰うわ、ラブ」 言葉通り、嬉しさを表した満面の笑みで、せつなは赤いミトンを受け取った。 「どう、せつな?」 ミトンをはめたせつなに、感想を尋ねるラブ。 せつなは、両手のそれを動かしたり、ぽんぽんと重ねてみたり。 しばらく思いのままに感触を確かめていたが、 やがて胸元で抱きとめるように両手を重ね合わせた。 「……うん、暖かいし、手に伝わってくる感触が気持ちいいわ。 ありがとう、ラブ……すっごく素敵なプレゼントよ」 そしてまた、ラブに向けられる嬉しさの笑み。 ラブは頷くことで、それに答える。 「うん、せつなが喜んでくれるなら、あたしも嬉しいよ」 (……ってそう思い切ることが出来ないあたしがちょっと悲しいけど) この笑顔と引き換えなら、ドーナツ三週間の我慢、安い代償じゃないか。 さっきからそう言い聞かせているのだが、心の中の一部がまだ未練を残しているらしい。 「ねえラブ、明日から三週間、貴方のドーナツ代、私が出すわ」 そんなラブの気持ちはお見通しとばかりに、 クスリと笑ったせつながラブに提案を持ちかける。 「え?……いいの?」 「ええ、これだけのプレゼントを貰ったんだから、私にも何かお返しをさせてね」 「……」 「どうする?さっきまでの私みたいに遠慮する?」 イタズラっぽい笑みで尋ねてくるせつな。 「……せつな、さっきあたしに言った言葉、丸ごとお返しする。 ううん、せつなの方がずっとズルい」 「……どして?」 「だってあたしがドーナツ我慢出来ないのわかってて、そんな事言うんだもん!」 むー、と頬を膨らませて答えるラブ。 そんなラブの様子を見て、クスクスと笑うせつな。 「ごめんなさいね……じゃあ、ドーナツの件、OKってことでいいのね?」 「もっちろん!せつなのドーナツで幸せゲットだよ!」 そしてわはーっ、と歓声を上げながら、せつなに抱きつくラブ。 と、その視線がせつなの赤く染まった頬に向けられる。 「ねえ、せつな?」 「何?」 「さっき待ってる間、寒かったでしょ?こんなに頬っぺた真っ赤にしちゃって……。 ごめんね本当に。もっと早く決めるつもりだったんだけど、結構迷っちゃって」 申し訳なさそうに眉尻を下げながらそう言うと、 自分の両の手の平をせつなの顔にそっと添えて、そのまま両の頬を包み込む。 「きゃっ……ラブ、何?」 「んーと、こうすれば、ちょっとはあったかいかなって」 ミトンに包まれたラブの手、 そこからの温もりが、やんわりと頬っぺたに染み込んでくる。 それだけじゃない。 こうして自分の事を思ってくれているラブの気持ち、その暖かさが心に伝わってくる。 体の温もりと心の温もり。 まぶたを閉じて、二つの温もりに身を委ねながらラブに答える。 「……………………………………うん、とっても暖かい」 「……良かった」 その言葉に、ラブの顔が安堵の笑みを作る。 待たせてしまったことの埋め合わせがこれで出来た、とばかりに。 「それにしても……」 「?」 言いかけた言葉に、せつなは疑問の表情。 「せつなの頬っぺた、手袋の上からでもわかるくらいに熱いよね」 「なっ……」 続く言葉で、体温が一気に跳ね上がる。 「わわっ!また熱くなった!せつな、大丈夫?実は風邪引いてたりするんじゃない? それってあたしが外で待たせてたせい?ごめんね、ごめんねっ」 伝わる熱が増したことに慌てるラブをどうどう、と落ち着かせる。 「違うわ、ラブ、熱はないから。大丈夫、安心して」 「本当なの?でもこんなに顔熱いし……」 「えっと、それは……」 言葉に詰まるせつな。 (え……それを言わせる気なの?) 相手が心を許した人だとしても、それを面と向かって言うのは流石に恥ずかしい。 黙ったままのせつなの様子に、ラブの不安が増す。 「せつな、やっぱり調子悪いんじゃ……どれどれっと」 言いながら、自分のおでこをせつなのおでこにコツンとくっ付ける。 「ちょ……ちょっと、ラ、ラブっ!」 (顔、近い、近いってば!) 人間の体温に沸点があるなら正に今がそうなんじゃないか、 それくらいに顔が熱いのを自覚しながら、せつなは言葉と心で二重に抗議する。 しかし、 「……やっぱり、すごく熱があるみたいだよ、せつな」 彼女の体を気遣うことに意識を向けているラブに、それは届かなかった。 ラブの行為はどこまでも真摯にせつなのことを思うが故のもの。 それ自体は嬉しい事なのだが、その根本が間違っている。 (全く……なんでこういう時に限って鈍いのよ、ラブは!) 心の中で文句を言いながら、せつなは止むを得ずの解決策を採る。 「……から」 「え?」 囁くように出された言葉を聞き取れず、ラブが聞き返す。 「……ラブに……されてるから……」 「ごめんせつな、よく聞こえないよ……まさか、声も出ないくらい具合悪いの?」 「……」 「せつな?」 「もうっ!こんなに顔を近づけて、頬に触られたり、おでこ付けられたりとか…… ラブにそんなことされたら、体温だって上がるわよ!恥ずかしいし!嬉しいもの!」 感情に任せて一気にまくしたてる。そうでもしないととても言えないから。 そしてその言葉は、 ―火が出るんじゃないかと思うほど赤くなった顔と 言っちゃったという後悔の感情を代償にして― 確実にラブに届いていた。 「……あ……え、その、えーと、せつな、つまり風邪じゃないの?」 狼狽するラブ。 その問いかけに、コクンと頷くせつな。 「……つまり、全部あたしのせいですか……」 更なる問いかけにもせつなが頷いた。 「……」 沈黙。反芻。熟考。理解。 4つの工程を得たラブの心に、先程のせつなの言葉が入り込んでくる。 途端、効果音を付けるならボンッという音が相応しいくらいに瞬間的に、 ラブの顔が、せつなと同じかそれ以上に赤く染まる。 「……うわわわわわ。せつな、今更だけどあたし…… すごく恥ずかしくなってきたんだけど…… いくら両手に手袋はめてるからって、おでこでとか、ねえ?」 「私の方が恥ずかしいわよ!んもーっ!結局全部言わせるんだからーっ!! ラブの馬鹿馬鹿ばかばかーーーーっ!!!」 言葉と共に、両手をブンブンと振り回し、ラブをポカポカと叩くせつな。 「あいたたたたた、せつな、ごめん、ごめんなさーい!!」 ミトンのおかげでそんなに痛くはないのだが、 それでも頭を押さえる仕草をして、走り出すラブ。 「あ、ラブ、こら、待ちなさーーーい!」 それを追いかけるせつな。 そのまま始まる、家までの追いかけっこ。 必死で逃げながら、それを追いながら、それでも二人とも笑顔で、楽しそうで― それはきっと、走る二人の手の先で何度もひらひらと宙に舞う、 ピンクと赤の二つの色があるから。 この冬で最初に、二人がゲットした幸せの証だから。
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あのね、美希ちゃん、今すぐ会える?…うぅん、会いたいの…だめ? 深夜1時。クローバータウンのよい子達は皆もう眠りについている。 中学生が友人を呼び出すにはあまりに遅すぎる時間である。 電話越しの祈里の甘えたような声に美希は疲れ果てたような溜息を枕に漏らした。 「あのねブッキー…今もう1時よ? 明日はお休みだからもっと早く言えばお泊まりできたのに…」 「ごめんなさい…でも今、会いたくなったの…」 今度は祈里に聞こえるように二度目の溜息を大きく吐く。 たまに訪れる祈里の我儘は、美希の悩みのタネだった。 祈里は滅多に我儘を言わない。そして恐らく美希以外には言わない。 逆にいえば、美希に対してだけたまにどうしようもなく我儘になり甘える。 それが美希にはわかっているために、無下にも出来ない。美希自身も嬉しいのである。 先ほどの言葉を訂正することになるが、二人の関係は友人同士ではなく、恋人同士なのだ。 完璧を自称する蒼乃美希として、また、祈里の恋人として、 祈里の我儘は叶えてあげたいのだが、いかんせん中学生に出来ることには限度がある。 「じゃあお昼はあたしに会いたくなかったの?」 祈里の言葉を逆手に取ってからかうと電話の向こうで大層慌てている様子が伺えた。 「え…っ、それは、…っもう…美希ちゃん…いじわる…」 「ふふっ…電話でよければ付き合うわよ。今から出て行くのはさすがにママに叱られちゃうわ」 「うん…ごめんね美希ちゃん…ありがとう」 なんとか代案で納得してくれたようで美希は今度は安堵の溜息を吐く。 祈里と付き合うようになって溜息の数は増えたが、逃げても余るほどの幸せがあるから気にも止めない。 「あたしもブッキーに会いたくない時なんてないわ、でも急にどうしたの?寂しい?」 「みっ、美希ちゃん…!」 美希の愛情をそのまま形にしたかのような台詞に、祈里は身悶えるような感覚を覚える。 擦り合わせた内腿の間、その奥が疼く。 「だめ…美希ちゃん…わたし…我慢出来ない…っん…」 祈里はリンクルンを左手に持ち替えて、右手を寝巻のズボンの中へ侵入させた。 たわわな胸に触れる余裕などない。下着の上から割れ目をなぞり、硬い芽を押し潰す。 「えっ?ちょ…ちょっと、ブッキー?」 電話越しの美希には何が起きているのかまだわからない。祈里が電話をかけてきた理由も。 「…っ、…美希、ちゃ…わたし…したいの……お願い、指示して…」 「えぇっ!?し、指示ってブッキー…今、もしかして…」 荒い息遣いから、祈里が何をせんとしているのかが美希に伝わる。 驚いて真っ赤になるのも束の間、ちょっと待って、と言いながら 美希はすぐに体を起こすと部屋の鍵をしめ、またベッドに戻って布団を被った。 「…エッチな気分になって、あたしに電話してきたの?」 「ごめんなさい…美希ちゃんのこと、考えてたら…つい…」 祈里の言葉と息遣いを聞きながら、美希も自らの秘所に手を伸ばす。 少しだけ湿ったそこに、まだ撫でるように優しく触れる。 「ふふっ、いやらしいのね、…祈里」 「…っ、や…美希、ちゃん…」 いつものあだ名ではなく、ほとんど両親にしか呼ばれなくなったその名前を愛しい人に呼ばれて、 祈里は沸き上がる悦びと背徳感のようなものに攻められ、きゅんと奥が締まるのを感じた。 「…今…どうしてるの…?」 「…下着の…上、から…」 「濡れてる?」 下着はもう意味をなさないほどに濡れていた。 しかしそれを言葉にするのが憚られ、相手に見えるはずもないのに祈里は小さく頷いた。 「…言わなきゃわからないわよ」 鋭い美希のことである。沈黙から察しているだろうに、敢えて祈里の口に出させようというのだ。 普段であれば、いじわる、と言って誤魔化してしまうだろう。 しかし今この状況では、このいじわるは祈里を興奮させるものであり、美希はそれを知っている。 つまりこれはいじわるであっていじわるではないのだ。 祈里は先よりも艶を帯びた声で言う。 「…いっぱい、濡れてるわ…」 「よく言えました…じゃあ、ご褒美に、直接触っていいわよ…祈里のエッチな部分、触ってみて」 「…う、うん…っ、…あ、っや…美希ちゃ、ぁん…」 美希の指示に大急ぎで従い、愛液を伴って直接に芽に触れる。 そこは痛いほどに勃起して快楽を欲している。 祈里の喘ぎから美希もそれを感じ取り、 以前この部屋で乱れた祈里を思い出しながら、濡れた性器に触れる。 「…っ、…気持ち、いい…?」 「ん、っん…美希ちゃん、…いい、ぅ…!」 「じゃあ今度は…親指で、そこを弄ったまま、他の指を中に入れてみて」 美希の性器もじゅうぶんに濡れそぼってきた。 自分が出す指示と同じように手を構え、軽く足を開いて人差し指と中指で入口を行き来させる。 「わかっ、た…う、っんぁ、…っあ、…だめっ…すごい、締まって……っ、…」 「…っ、奥まで、いれてるの…?壁をね、擦ってあげるのよ…こうやって…」 自らの指を下の口でくわえ込み芽を弄りながら 喘ぎを漏らす祈里の姿を頭に描いて、美希も同じように秘所を慰める。 美希の言葉にまるで自らの手が美希の手であるかのような錯覚に陥り、 祈里は夢中で指を動かした。 「あ…っ、あ…」 「っふ、ぁ…美、希ちゃ…も、…してる、の…?」 美希の甘い声を聞き逃さずに祈里は尋ねる。 きゅうきゅう締まる膣を押し広げ、指示通り柔らかい壁を擦りながら。 「当たり前、よ…っ、一人だけ、気持ち良くなるつもりだったの…?」 「あっ…ううん、そういう、わけじゃ…嬉しい、の、…っふ…」 「嬉しい…?」 「…っ、美希ちゃんが、わたしで…その……」 祈里の言わんとしていることを察し、今度は美希の子宮が疼く。 こんなに反応を示しても二人の行為では子宮は働かないのだと思うと どこか辛かったが、そんな思考は一瞬にして追いやる。 「…付き合う前から、ずっとあなたのこと考えてしてたわよ…」 「んっあ、美希ちゃ、わたしも…っ、あっ…も、だめ…いっちゃう…」 好きな芽を特に刺激して絶頂へ駆け上がりながら、祈里は体を震わせた。 美希も追うように自分の敏感な箇所ばかりを攻め上げる。 「祈里…っ、あたしも、いきそう…一緒に…」 「ん…っあ、あぁっ…美希ちゃ…っ…!」 「あぁン、っ祈里…!」 びくんびくん、と体が震える。お互いの姿、同様に昇天している相手を想像しながら果てる。 下半身がとろけてしまいそうだ。 リンクルンが、二人の荒い息遣いだけを拾い互いに伝える時間が続いた。 やがて落ち着いてきた頃、美希は電話越しの祈里の気配のようなものを感じられなくなり、声をかける。 「……祈里…?」 返事は聞こえない。 「祈里、どうしたの、寝ちゃったの?」 深夜ということもありあまり大きな声は出せないが、 先ほどまでよりはやや大きめの声で呼び掛ける。と、何やらすぅと息を吸う音が聞こえた。 「…ん…美希…ちゃん…ごめんなさい…、おやすみ、なさ、…」 「…もう、ブッキーってば…おやすみなさい」 美希の思った通り、祈里はほとんど夢の中にいってしまっていたようだ。 今日が始まってまだ2時間も経っていないというのに、何度目かになる溜息が漏れた。 しめていた鍵をあけ、何ごともなかったかのようにまた布団の中へ入る。 先に相手に眠られてしまい、一人の寂しさを擦り付けられたような感覚に陥りながら、 一刻も早く寝ようと美希は目を閉じた。夜更かしは美容の天敵である。 終 5-315へ
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せつな「これがお雛様ね、桃の花も素敵。ひな祭りって綺麗ね」 あゆみ「ラブのは桃色。せっちゃんのお雛様は赤い衣にしたのよ。 お雛様はね、自分の災厄を変わりに引き受けてくれるの」 ラブ「ひな祭りはね、女の子のお祝いの日なんだよ」 圭太郎「お父さんは寂しいなあ」 せつな「おとうさん、白酒どうぞ、散らし寿司とお吸い物は私とラブで作ったのよ」 圭太郎「お父さんは幸せだなあ」 あゆみ「まあ、どっちなのよ、お父さんたら。 でも、このお吸い物、はまぐりの出汁が効いてて美味しいわね」 せつな「どうしてはまぐりを使うの?」 あゆみ「二枚貝はね、対の貝殻しか絶対に合わないの。 相性の良い相手とめぐり会えますようにって祈りをこめて食べるのよ」 ラブ「あたしたちはもうめぐり会えてるもんね、せつなっ」 せつな「私とラブはぴったり合うわ。初めて会った時からそう思ってた」 あゆみ「そういう意味じゃないんだけど、あななたちらしくていいわね」 ラブ(ごにょごにょ)「今晩、あたしたちで貝合わせしようか?」 スパーン! せつな「良い話を台無しにしないで!」
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「せつな、恵方巻って知ってる?」 「恵方巻?知らないわ。ラブやみんなは知ってるの?」 「もちろんよ!いい、せつな、よく聞いてよ。はいブッキー先生、どうぞ!」 「もう、美希ちゃんたら……。あのね、恵方巻っていうのは、節分に食べると縁起が良いとされる太巻寿司、またはそれを食べる風習のことよ。 節分の夜に、その年の恵方に向かって願い事を思い浮かべながら、目を閉じて一言も喋らずに太巻を丸かぶりして、食べ切ることができたら願い事が叶うと言われているの」 「さすがブッキーね。ありがとう、よくわかったわ」 「えへへ、どういたしまして」 「へええ!そうなんだ、知らなかった~」 「ラブったら、知ってるんじゃなかったの?」 「たはー!あたし、美味しい太巻を丸かぶりできるってことしか知らなかったよ~」 「ラブちゃんらしいね」 「よぉし、そうとわかったら早速太巻の材料ゲットしに行くよ!」 「手作りするなんて、さすが桃園家よね、頭が下がるわ」 「そういう美希たん家は毎年どうしてるの?」 「うちはいつも河童巻を買うの。あれなら細くて食べ切りサイズだしね」 「それじゃ厳密には恵方巻食べたことにならないと思うけど……」 「べ、別にいいの!せつな、細かいツッコミ禁止よ。だってモデルは体型重視しなきゃね」 「そんなとこが美希ちゃんらしいね」 「そういうブッキーはどうなの?」 「わたしは毎年必ず食べてるわ。黙々と食べて、いつも同じ願い事を唱えてるのよ。今年こそは叶うって、わたし信じてる……」 「どんな願い事なのかが気になるわね……」 「ホント……」 「まあまあ、みんなで恵方巻食べて、今年も幸せゲットだよ!」
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「ふぅー、食べ過ぎたよー!」 ベッドに転がり、お腹を撫でる。 「もう、すぐ寝ると消化に悪いわよ」 せつなが、微笑みながら ベッドに腰を下ろす。 ダンス大会優勝のお祝いで、お母さんが たくさんのごちそうを作ってくれた。 「おいしかったねー!」 「ええ、すごくおいしかったわ」 曇りのない、せつなの瞳。 せつなは、自分の幸せを 見つけた。 それを叶えるために、 もうすぐ旅立つ。 「せつな、耳かきしてあげるよ!」 あたしの耳かきは、家族にも好評。 せつなも、お気に入り。 膝に、せつなの頭をのせる。 奥まで行かないように、 軽く耳かきを走らせる。 「気持ちいい...」 しばらくすると、せつなが 寝息を立て始めた。 反対側、 出来なくなっちゃった。 しばらく、せつなの 髪を撫でる。 頑張ってね、せつな。 あたし、応援してるからね。 色んなことが、あった。 幸せが訪れると、 占ってもらった。 幸せのもとを、 ふたりで選んだ。 ふたつのことを叶えようとしていた あたしを、心配してくれた。 心配してくれた本人が、 どんどん、やつれていった。 闘っていた、相手だった。 ほんとうの姿を、取り戻せるように 思いのたけを、ぶつけた。 いなくなった悲しみと、 また会えた喜び。 一緒に、ダンスをした。 学校に行った。 旅行にも行った。 だんだんと増える、 穏やかな、笑顔。 いつしか、ほんとうの 家族のように、結びついた。 そして、自分で、 自分の幸せを見つけた。 「せつなの幸せって、何?」 今なら、答えられるよね。 髪に指を入れ、 ゆっくり梳く。 少しだけ、せつなの 輪郭が、かすんだ。 どのくらい経っただろう。 せつなが頭を持ち上げた。 「ごめんなさい、つい気持ち良くて...」 感覚が無くなっていた足に、 血がめぐり出す。 痒いような、くすぐったいような感覚に 一生懸命耐える。 「どしたの?」 「あ、足がしびれちゃって...」 鈍い動きでベッドに這い上がるあたしを見て、 せつなが珍しく、いたずらっぽい笑みを浮かべる。 「ひっ...!」 痺れている足を、つつかれる。 全身に、しびれが回る。 「ちょっ!タンマ!今だめ!」 懸命に逃げるが、うまく動けない。 せつなは、くすくす笑いながら、 容赦なく両手で足をくすぐる。 「あははは!まいった!せつな!許して!」 しばらく、せつなに追い回されて ベッドの上を転げ回った。 足のしびれがおさまってきたころ、 ふっと、せつなが覆い被さってきた。 少しひんやりとした、せつなのほおが あたしのほおに当てられる。 お互い、身動ぎひとつ しなくなった。 急に、部屋の音が消えた。 窓の外で、 強い風が吹いている。 春が近い。 風の音と、ふたりの 息づかいだけ。 せつなが、時々頭を少し動かして ほおをかすかに押しつけてくる。 あたしも、せつなのほおの感触を 確かめるように、軽く、すり寄せる。 精一杯、頑張るわ。 応援してるからね。 口から出る言葉は、これからも 同じだろう。 ほおを通して伝わるのは、 もうひとつの思い。 あたし達は、しばらくの間、 口に出せない思いを伝えあった。
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「美希ちゃん……わたしって、魅力ないのかな?」 幼なじみの少女、ブッキーこと山吹祈里が急にそんなことを言い出した。 何やら相談があると言って呼び出された公園のベンチに、ふたりで腰をかけて数分後のことだ。 アタシは何だか微笑ましくなって、つい破顔しそうになる。 最近悩んでるみたいだとは感じてたけど、こうまであからさまだと、もう可愛いにも程がある。 けど、ここで笑っちゃブッキーにあまりにも失礼だから、アタシはぐっと我慢してた。 けれども、ふと気づく。 笑いそうになりながらもそれを必死の思いでこらえているアタシを、恨めしげに見ているブッキーの冷たい視線。 「美希ちゃん……今の聞いてた?」 「ももももちろんよ!魅力がないなんてとんでもない。幼なじみって贔屓目を差し引いても、ブッキーみたいな可愛い娘、そうはいないって思うわ」 冷たい視線が怖かったからじゃなく、これはアタシの本心。 この純粋無垢な可愛い幼なじみが、アタシは昔から大好きだったから。 それに、女の子の魅力って、外見的なものだけじゃない。 内側からあふれだす綺麗なものが、外側を余計に輝かせていることって、女性に限ったことではない。 「じゃあ……教えて?」 「いいわよ。アタシに答えられることなら何なりと。どんどん聞いて!」 「ラブちゃんとはどんな風に始まったの?」 そうくる!? しまった……。藪蛇ってきっと、こういうことを言うんだわ。 「な、なんでアタシたちの馴れ初めなんかが聞きたいわけ?」 「……あのね。実はわたし、好きな人がいるんだ」 好きな人?あの奥手だったブッキーに、好きな人ですって!?初めて聞いた気がする。 不謹慎だとは思うけど、アタシは何だかワクワクしてしまう。 「そうなんだ。だからアタシたちの馴れ初めを参考にしようと思ったの?」 ブッキーは頬を桃色に染めながら、こくん、とうなずく。その仕草が、彼女の可愛らしさをいっそう引き立てる。 「その人もわたしのこと、少しは好意を持ってくれてる気がするんだけど、はっきり言われたわけじゃないから自信がなくて……」 んもう!可愛いなあ。まだお付き合いする前ってわけね。女子中学生らしいウブな恋愛話って感じ。 おっと、いけない。ブッキーはアタシを恋の先輩として、こうして頼ってきてくれてるんだから、ちゃんと相談に乗らなきゃ。 「コホン。あー、そうね、まずアタシはずっと前からラブが好きだったけど、実は長い間その気持ちは隠してたの」 「それはどうして?」 「だって、幼なじみの関係が壊れるのが怖かったからよ。ほら、アタシって意外と臆病なとこあるし」 「わかる!それ、すごいわかる!」 ブッキーが目をキラキラさせて叫ぶ。相当共感してくれたみたい。 かつてのアタシ達がそうだったように、ブッキーと相手の人との関係も友達なのだろうか。 「けど、クリスマスの夜にね、ふたりっきりになったじゃない? あの時に、ラブから、その……告白してくれたって言うか……。まあ、詳しくは省くけどそんな感じよ」 告白を兼ねてお風呂で初エッチしちゃったなんて、そこまではさすがに言えないから割愛するわ。ごめんねブッキー。 「いいなあ。好きな人から告白されるなんて、一番いいパターンだよね。うらやましい」 ブッキーは、膝に乗せていたバッグを胸でぎゅっと抱きしめ、“ほうっ”とため息をついた。 「ブッキーも関係が壊れるのが怖くて言えないの?」 「うん。向こうもはっきりとはまだ言ってくれてないから。 抱きしめられたことはあるから、少しはわたしのこと……って思うんだけど、勘違いだったらどうしようって考えると、何も言えなくなっちゃう。 待ってるだけじゃ変わらない気もするんだけど、やっぱり待っちゃうの。わたしってズルいよね。ふふ」 力無く笑うブッキーの顔には、はかないようなもどかしいような、何ともいえない複雑な微笑が浮かんでいた。 ブッキー、ホントに恋してるんだ……。 「ねぇ、その人に気持ちをはっきり伝えてみれば?もし仮に駄目だったとしても、ブッキーが好きになった人だもん。ちゃんと向かい合って真剣に考えてくれるって、アタシ思うけどな」 そう言うと、彼女は弾けるような愛らしい笑顔で笑ってくれた。 「ありがとう美希ちゃん。わたし、勇気を出してがんばってみるね」 「うん、がんばって!応援してるから。アタシで良かったら、いつでも相談に乗るからね。 ……ところで、ブッキーの好きな人ってどんな人?アタシの知ってる人?」 ブッキーは再び頬を染めて、恥ずかしそうに答える。 「とっても素敵な人。美希ちゃんもよく知ってる人よ……」 え?誰だろう。アタシが知ってる人で素敵な人なんて、ミユキさんかラブかせつな、もしくはあゆみさんか尚子さんかママしか浮かばないけど。 まさか、ラブじゃないわよね?嫌よ、ブッキーがライバルなんて! 仮にブッキーがラブを好きだとしても、アタシ負けないから! 嫉妬の炎をメラメラさせ始めたアタシを余所に、ブッキーは囁くように呟いた。 「せつなちゃん……」 「ええっ!?せつな!?ホントに?」 「ホントよ」 ん?今の声、ブッキーの声じゃなかった。 声がした方に目をやると、そこにいたのは何だか怒ったような表情のせつなだった。 せつなはブッキーを見据えて、低い声で話し出す。 「ブッキー、美希はラブの恋人なのよ。あなたも知ってるでしょ?」 「うん、もちろん知ってるけど……」 「だったら駄目よ。ふたりっきりで何話してたのか知らないけど、ラブに悪いじゃない」 「そんな……ちょっと相談に乗ってもらってただけよ」 「そうかしら。あなたの顔、やけに赤いし。美希も美希よ。ラブってものがありながらブッキーにまで手を出すなんて」 どうやらせつなは、アタシがブッキーに手を出してるって勘違いしたらしい。 違うのってアタシが言おうとしていたら、素早くブッキーが言い返す。 「そんな言い方って……。それじゃせつなちゃんだって、ラブちゃんと一緒に暮らしてるじゃない!」 「なあにそれ、酷い!ブッキー、私を疑ってるの?」 「そういう意味じゃないわ。ただ、話をしてるだけで美希ちゃんやわたしを疑うなら、せつなちゃんだって同じよって言いたかっただけよ」 ブッキーに正論を突き付けられて、せつなは言い澱み、考えこんだ。 嫉妬心で正常な判断がつかなかったのね。せつなったら、そこまでブッキーのこと……。 「そうね、さっきのは私が悪かったわ。ごめんなさい。けどわかって。私はラブとは姉妹みたいなものよ。何でもないんだから!」 「わたしだって美希ちゃんは頼れるお姉さんみたいな存在よ」 「じゃあ……私は?」 「え、えっと、その……」 「何も言ってくれないのね」 「せつなちゃんこそ言ってくれないじゃない!」 「私は言ったわ!あの夜、ホタルの光の中で。あなたを見つけたって。お互いに心が通じ合ったって思ってたのに」 「あれだけじゃわかんないよ!わたしのことどう思ってるのか、ちゃんと言ってほしい」 ブッキーは力強くせつなを見つめた。 しかしこの展開は……痴話喧嘩よねどうみても。何でアタシ、すぐに去らなかったのかしら。後悔先に立たずとはよく言ったものだ。 せつなとブッキーは、お互いに顔を紅潮させながら対峙している。 しばらく見つめ合っていたが、やがて決意したようにせつなが言い放つ。 「じゃあ言うわ。好きよ、祈里……大好き。ほんとうよ」 「わたしだって!わたしだってせつなちゃんが大好きよ……」 「私の方が大好きよ!」 「わたしの方がもっともっと大好き……」 あらあら、とうとう抱き合っちゃった。 アタシなんて眼中にないってわけね。はいはい。全くもう。好きにやっちゃってよね。あーあ、アタシもラブに会いたい。 せつなとブッキーは抱きしめ合い、見つめ合った。 まさか、好きにやっちゃってとは思ったけど、アタシの目の前でファーストキスまでする気じゃないでしょうね!? そう思って手で目隠しをする準備を始めたアタシの目の前で、深紅の光が弾けた。 気づけば、ひとりぼっち。アタシって一体何なの……。 ベンチにひとり、トホホな気持ちで落ちていたら、後ろから誰かがふんわりと抱きしめてきた。 「みぃーき、見ーつけたぁ」 ラブはこのところ、アタシを呼び捨てにする。アタシがラブにそうして欲しいって頼んだら、それ以来そう呼んでくれるようになっているのだ。 「せつなたち、やっと始まったみたいだね。まったく世話が焼けるんだから」 「まさかラブがせつなを焚きつけたの?」 「わはー!バレたか」 ラブが赤い舌をペロっと出した。そんな仕草がたまらなく愛しい。 「けど驚いたわ。ブッキーとせつながお互いに恋してるなんて。ラブは知ってたの?」 「うん、何となくね」 「そっか、知らなかったのはアタシだけか。あ、ラブ、せつなに何て言ったの?」 「えーとね、聞いてよせつなぁ!美希たんがブッキーと公園でふたりっきりになっていちゃいちゃしてたんだよ。あたし許せない!……こんな感じかな?」 「まったくもう!それじゃあアタシが完璧に悪者じゃないの」 「いいじゃない、ふたりが上手くいったんだから。これもみんな美希のおかげだよ!」 「そう言われちゃあ仕方ないわね。じゃあラブ、悪者役をがんばったアタシに、ご褒美は?」 そう言ってご褒美をねだったアタシにラブがくれたものは、気持ちのこもった深い口づけ。 ああ、大好きな人となら、幾度くちびるを重ねても高揚してしまう。 五感でラブを味わいながら思う。こんなご褒美があるなら、たまには憎まれ役も悪くないかもね。 み-232へ
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私とラブの部屋はベランダで繋がっていて、部屋の戸を開ければお互いの部屋に行き来できる。 夜中に自分の部屋のベランダ側のドアを開けておく。それはOKだっていうサイン。 何がOKか、ですって。ふふふ、そんなの、決まっているじゃない。 もちろん、私の部屋のドアはいつでも、Open my hea・・・と、じゃなかった、Open my door. いつもだったら、ラブがもうとっくに来ている時間・・・・ 痺れを切らして、ラブの部屋に向かう。私の方から行ったら、嫌われるかしら? いいえ、ここで決めなきゃ女がすたるわよね。・・・・何を決めるのか分からないけど。 Go!Go!Let’s Go!! ラブの部屋のベランダ側のドアは開いていて、その事に勇気を得て、部屋に入る。 眠っていたラブが物音で目を覚まして、自分の部屋にいる私を認識したらしく、 「せつな、どうしたの」って聞いてくれる。ラブはいつでも、どんな時でも優しい。 「ラブ、私、眠れないの」って言うと、ラブが布団を捲って私を中に誘ってくれる。 みんなが寝静まった夜、愛する二人が狭いシングルベッドで・・・・ えっ、良く眠れる方法を教えてあげるって、・・・・・眠れる方法?? 最初、頭の中に柵がある草原を思い浮かべて・・・・・草原に・・・柵・・? その柵を羊が乗り越える、その羊の数を数える・・・・羊なの、どして? 別に、馬でも、牛でも、ライオンでもいいじゃない。 手本を見せてくれるって?羊が一匹、羊が・二匹、羊が・・三・・匹、ひつ・・じが・・ それから、幾ら経っても、四匹目の羊が出てこない。 横目で見ると、ラブはすでに夢の中。羊を数えるという、この世界の方法は効果覿面らしい。 でも本当は、眠れないからラブの部屋に来たのではなく、眠れないのを口実にラブのそばにいたかっただけなのに。 私が隣にいるのに、ラブったら何も感じないの? 暢気に寝ているけど、ほっぺでも抓ったら起きるかも。 ラブの顔に触れようとした瞬間、「せつなぁ~」とラブが私の名前を呼ぶ。 起きたのかと思ったけれど、目は閉じたままだから、ただの寝言だったらしい。 夢の中で、私達が何をしているか分からないけれど、ラブは幸せそうに微笑む。 私も夢でラブに逢えるかしら。 瞼を閉じて、羊を数えてみる。 羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹、羊が四匹、羊が五匹・・・・・ 了 ~おまけ スレ投下Ver~ それから、幾ら経っても、四匹目の羊が出てこない。 横目で見ると、ラブはすでに夢の中。羊を数えるという、この世界の方法は効果覿面らしい。 でも本当は、眠れないからラブの部屋に来たのではなく、眠れないのを口実にラブのそばにいたかっただけ。 隣に美少女がいるのに、ラブったら何も感じないのかしら。 暢気に寝ている寝顔が妬ましい。ほっぺでも抓ったら起きるかも。 ラブの顔に触れようとした瞬間、「せつな、もう、駄目だよ」?? ・・・・一体、夢の中でラブと私は、何しているのかしら? まあ、いいわ。今夜は夢の中でラブを懲らしめているみたいだから。 じゃあ、おやすみなさい。
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「せつな…もう寝ちゃった?」 一体わたし、どうしちゃったの?初めてのラブとの旅行(修学旅行だけど)だっていうのに…。 「ねぇ…せつな」 だいたいラブもラブよ。大輔だか何だか知らないけど、いちゃいちゃしちゃって…。 「せつなったら!」 「なによ!ラブのバカ!」 「…っ!いきなりバカ呼ばわりはないんじゃないの」 「そんなつもりじゃ…」 ラブはため息をついて布団から起き上がる。 「なんか今日のせつな…やっぱり変だよ。どうしたのかな?」 変にさせてるのはラブよ…。 「わわっ!何で泣くの!?あたし何かした?」 わたしは首を振る。判ってる。ラブが悪いじゃない。悪いのは…わたし。 「せつな…泣いてちゃわかんないよ」 「だって…自分が嫌になったんだもの」 「どこが?あたしはせつなの全部が好き」 「全部だなんて…大袈裟ね」 「大袈裟なんかじゃないよ!」 そう言って、ラブはわたしを抱きしめる。 「だって…初めて会った時からずっと、色んなせつなを見てきたんだよ?」 …そうだった。ラブはイースだった頃のわたしを愛してくれた、たったひとりの人。 「…バカって言ってごめんなさい」 「もういいよ…で、何を怒ってたの?」 「言えないわ…恥ずかしくて」 「いいから!あたし達の間で隠し事はナシだよ」 「だって…ラブが大輔くんとばかり…その…仲良くしてるから」 「なんだ、そんなことか!良かった~あたしてっきり、夕飯のせつなのラフテーを横取りしたこと怒ってるのかと…」 ラブはぎゅうぎゅう抱きしめてくる。 「ちょっとラブ!苦しいわ!」 「えへへ~だって嬉しいんだもーん。せつながヤキモチ妬いてくれて」 ヤキモチ…これがそうなんだ。本で読んで知識はあったけれど、自分が嫉妬しているなんて気づかなかった。 「ねぇラブ…」 「わかってる」 くちびるに触れる柔らかなラブの感触。ずいぶん慣れたはずなのに、いまだに胸が高鳴る。 「今日はまだしてなかったからさ。えへへ」 「…ありがと」 「けど、ヤキモチ妬くせつなも可愛いよね」 「次はラブが妬く番よ」 「え?」 「ふふっ…冗談よ」 本当は、半分本気だった。いつか…ヤキモチを妬いてもらえるくらい、好きにさせてみせるんだから。 今度はわたしからくちづける。確かめ合うように、深くゆっくりと。 沖縄の熱い夜は、まだまだ始まったばかり。
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紅葉が見られる湖の駐車場に併設された物産センターを見上げると、「2F オルゴール館」の文字が目に入った。 この手の観光地には良くあるパターンだ。 「ねえお父さーん、早く行こうよー!」 「はいはい、分かったよ。今行くから。」 店内に入ると、オルゴールのBGMが流れてきた。 オルゴールの音色は癒されるから僕は好きだ。 そういえば最近我が家で昼夜を問わずオルゴールの音が聴こえるんだけど、ラブやせっちゃんが携帯の着信音でも変えたのかなぁ。 「お母さーん、あたしオルゴール見に行きたい!ねっ、いいでしょ?」 「いいわよ。せっちゃんと行ってらっしゃい。私たちはお土産選んでるから。」 「わー、やったぁ!行こっ、せつな。」 「ありがとう、お母さん。行ってくるわ。」 2階へ駆け上がっていくラブとせっちゃんを見送り、あゆみと二人でお土産選びを始めた。 「この漬物はどうだい?」 「ダメダメ。この程度の品ならウチのスーパーでも買えるわ。」 「そうか、じゃあお前の目利きに期待してるよ。」 僕たちは青果売り場に移動した。 色々な種類の野菜や果物がかごや袋に入って並べられている。 「お母さん、今が旬の果物って何があるかね?」 「そうねえ。ここにある物なら、りんごかしら。」 「よし、りんごにしよう。で、いくつ買うんだい?」 「えーっと、ウチとお隣さんと蒼乃さん家と山吹さん家と・・・。」 「それに、あなたの会社の同僚にも買ってあげるんでしょ。」 「ああ、そうだった。じゃあ10パック買うか。」 店員を呼んで、りんごを注文する。 しばらくすると段ボール3箱に入ったりんごが台車に載せられてきた。 代金を支払い、一旦車までりんごを運ぶことにした。 「やっぱり車で来て良かったわねー。」 「そうだね。宅配は送料もかかるし旅行気分が抜けてから届くってのが、ちょっとね。」 車にりんごを積んで再び店内へ戻ろうとした時、僕の携帯が鳴った。 ラブからの着信だ。電話機を開いて通話ボタンを押す。 「もしもし。・・・ああ、買ったよ。りんごを。」 「えっ?わかった、今行くから。」 「お父さん、どうかしたの?」 「ああ、ラブとせっちゃんが2階のオルゴール館に来てほしい、ってさ。」 店の2階に上がり、入場ゲートをくぐる。 館内は大小さまざまなオルゴールが展示されていた。 販売コーナーにもたくさんのオルゴールが並べられていて、多くのお客で賑わっている。 その中にラブとせっちゃんの姿を確認し、彼女らのもとへ向かう。 「あっ、お父さーん!」 「おー、ラブ。どうしたんだい?」 「うん。あのね、オルゴール見ていたらほしくなっちゃって。」 「買うならこれがいいって、ラブと選んでいたところなの。」 まあ、オルゴール館に入った時点である程度の出費は覚悟していたけど。 二人がどんなオルゴールを選んだのか、聞いてみるか。 「ラブ、買ってあげないこともないから僕に見せてごらん。」 「ホントに!?ケースはあたしが選んで・・・」 「曲は私が選んだの。」 そう言って、ラブとせっちゃんは陳列されているオルゴールのケースとメカを手に取り、僕に差し出した。 ラブが選んだのは三角屋根の家をかたどったケースで、我が家と同じピンク色に塗られていた。 せっちゃんが選んだメカの曲目は「愛のオルゴール(Music Box Dancer)」だった。 「あら、その曲懐かしいわね。私が中学の時にピアノで弾いていたから。」 「わはー!偶然だね、お母さん。せつなは曲名だけで決めたみたいだけど。」 「お父さんはこの曲知ってるの?」 「もちろんだよ、せっちゃん。小さい頃からよく聴いていたさ。」 「あらお父さん、あなた何か楽器やってらしたの?」 「いや、そうじゃないんだけどね。アハハ・・・。」 本当は僕の田舎のちり紙交換車のメロディーだったなんて、言えないよ。 それでも、ラブとせっちゃんが選んで、あゆみにもゆかりのある曲なら買ってもいいかな。 「よしっ、じゃあ買ってあげよう。」 「本当!?やったー、せつな。幸せゲットだね!」 「ありがとう、お父さん。オルゴール、大切にするわ。」 ラブとせっちゃんからケースとメカを受け取り、レジへ持って行った。 20分で組み立て仕上げをしてくれるということなので、もう一度1階のお土産売り場で買い物をすることにした。 あゆみはお菓子を、ラブとせっちゃんは小物類を選んでいる。 オルゴールも完成し、すべての買い物を終えて店を後にした。 「さあ帰るぞ。ちょっと遅くなったかな?」 「帰りも安全運転でお願いしますね、お父さん。」 「あたしたちは寝ていくからー。」 「ラブったらもう寝る気でいるのね・・・。」 湖からの帰り道は、一般道路から既に渋滞していた。 高速道路に入っても断続的な渋滞で、ラブは予告通り後部座席で眠りについている。 つられるように、せっちゃんもラブに寄り添って眠ってしまった。 「お母さん、夕ご飯はどうするかね?」 「そうねえ。この時間だから途中で食べていこうかしらね。」 「わかった、じゃあ次のサービスエリアに寄るとするか。」 車をサービスエリアに入れ、駐車位置に停めた。 眠っている二人に声を掛け、せっちゃんが先に目を覚ました。 ラブはなかなか起きなかったが、夕ご飯の言葉で目を覚ましてくれた。 車から降りて、レストランなどが入った建物へ向かった。 「ゆうごはーん、ゆうごはーん、みんなでおうちでゆうごはーん♪」 「ラブ、ここはウチじゃないでしょ。」 「わはっ!そうだっけ。」 「せっちゃん、サービスエリアではその土地の美味しいものが食べられるんだよ。」 「そうなの、お父さん。楽しみだわ。」 レストランに入り、食券販売機の前に立った。 天ぷらそば定食でいい?と、あゆみがメニューを決めてくれた。 「あたし、大盛りー!」 「まあ、ラブ。あれだけお昼食べたのに?」 「毎度のことだけど、ラブの食欲には恐れ入るよ。」 「だってー、ひと眠りしたらお腹が減っちゃって。」 食事を済ませ、再び車を走らせる。 到着するインターチェンジまであと何km、の看板が見えた。 こういう時こそ気を引き締めて運転に集中しないと。 「もうすぐ出口だな。」 「サービスエリアを抜けてからは早かったわね。」 「せつな、初めての高速どうだった?」 「ええ、いろんな景色が見られてとても楽しかったわ。」 料金所を通過し、一般道路に下りた。 四つ葉町まであと数十分、もうひと踏ん張りだ。 「ねえお父さん、美希たん家に寄ってってくれるー?」 「そうだな、お土産もあるし今から寄っていくか。」 「ありがと、美希たんにメールしよっと。」 僕たち一行はやっと四つ葉町に帰って来た。 ヘアサロンに車を着けて、店のドアを開ける。 レミさんと美希ちゃんが出迎えてくれた。 「あら、圭太郎さん。きょうは旅行だったの?」 「ええ、家族サービスですよ。」 「こんばんは、おじさま。」 「おお、美希ちゃん。今日も綺麗だねー。」 「美希たーん、これお土産だよ!」 あゆみがりんごをレミさんに手渡す。 ラブはオルゴール館で買ったペンダントを美希ちゃんに渡した。 「まあ、ごちそうさま。」 「ありがとう、ラブ。せつな。いつか撮影でも身に着けるわ。」 「こんな素敵な旦那様がいて羨ましいわ、あゆみさん。」 「もう、ママったら・・・。旅行の話、今度ゆっくり聞かせてもらうわね。」 レミさんたちに別れを告げ、次の経由地である山吹動物病院へ向かった。 せっちゃんが携帯で祈里ちゃんに電話している。 通話を終えたせっちゃんが僕の方を見てうなずく。 動物病院に到着し、玄関のチャイムを鳴らす。 正さんとタルトを抱えた尚子さん、それにラブのぬいぐるみを抱えた祈里ちゃんがやってきた。 「おー、圭太郎さん。こんばんは。」 「あゆみさん、せつなちゃんたちと一緒の旅行、どうだった?」 「ええ、本当に楽しかったわ~。」 「お帰りなさい、ラブちゃん。せつなちゃん。」 「ただいま、ブッキー!タルト、お利口にしてた?」 「うん!タルトちゃんはウチが大好きだもんねー。」 祈里ちゃんの言葉に、タルトが引きつった顔をしたように見えたけど何でだろう? 僕が正さんにお土産のりんごを渡し、あゆみはお菓子を尚子さんに渡す。 タルトの預かり賃としてこのくらいなら納得してもらえるかな。 「ブッキー、私たちもお土産を買ったの。」 「ホント?せつなちゃん。何を買ってきてくれたの?」 せっちゃんが取り出した小さい紙包みを受け取った祈里ちゃん。 開けていい?と聞く祈里ちゃんに、いいよ!とラブが答える。 「わぁー、ご当地白ネコちゃんの新作ストラップね。」 「ありがとう、せつなちゃん。ラブちゃん。わたしの気に入るものを買ってきてくれるって、信じてた!」 ラブがタルトを、せっちゃんがぬいぐるみを受け取り、おやすみのあいさつをして動物病院を後にした。 この日最後のドライブを終え、ようやく自宅に帰宅した。 「ただいまー。あー疲れた。」 「長い時間運転お疲れ様、お父さん。」 「疲れたー。でも楽しかったよね、せつな。」 「ラブとこんなに長く一緒にいられるなんて。またドライブに行きたいわ。」 「ラブ、今日はお父さんを先にお風呂に入れてやるのよ。」 「うん。わかったよ、お母さん。」 入浴を済ませ、パジャマに着替えるとラブとせっちゃんが待っていた。 「今日は一日ありがとう、お父さん。」 「私たち、お礼をしたいの。」 「お礼って何だい?」 「ささっ、そこへ座って。お父さん。」 言われるままにリビングルームのソファーに腰掛けると、ラブとせっちゃんが二人がかりで僕の両肩を揉み始めた。 「ああ、気持ちいいねぇ。上手だよ、せっちゃん。」 「そ、そう?でもすごく肩が凝ってるわね、お父さん。」 「強さが足りないのかなぁ?えいっ!」 「いてて!ラブ、もうちょっと優しく頼むよ。」 こうして、僕たち家族の1日は終わりを告げようとしている。 またみんなで旅行に行けるように、明日から仕事を頑張るよ。 ~おわり~
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夢の中までずっと一緒。 夢にまで見てくれるなんて嬉しい。 そう、感じる筈だと思ったのに。 サラリと前髪を祓う指に眠りから引き戻される。 目の前にあるのは、夢の中と同じ微笑み。 「起こしちゃった…?」 あまり気にしてなさそうな口調で、髪を弄びながら彼女は囁く。 「眠りながら笑ってたわよ?」 どんな夢見てたの? 「せつなの、夢だよ…」 嬉しそうに唇を寄せてくる彼女。 「私も、ラブの夢見てたわ…」 夢の中でもずっと一緒なのね。 甘く蕩ける声。 嬉しいはずなのに、胸の中に小さな棘が生まれた。 「夢の中のあたしは、せつなにどんなコトした…?」 「……ラブ?」 「キスとかしたの?…その先は…?」 あたし、どうして泣きそうな声してるんだろう。 戸惑う彼女の首筋に顔を埋め、強く唇を押し付ける。 「夢なんかより、本物の方がいいでしょ?」 駄々っ子みたいに素肌に印を滅茶苦茶に刻む。 汗ばんでくる肌からは、あたしだけが知ってる甘い香りがする。 馬鹿みたいだ。 夢の中の自分にまで、嫉妬するなんて。 あなたに触れていいのはあたしだけ。 例え、夢の中の分身でも耐えられない。 end